ロシアのウクライナ侵攻に抗議する声明

 ロシアの行動は、主権国家に対する暴力であり、国際法的にも許されるものではありません。武器を収め、平和解決をするよう願うものです。

 ロシアによるウクライナ侵攻、報道を見る度に心を痛めます。

 数千人の市民が命を失い、それ以上の市民が負傷し、数十万の人達が国外へと非難し、多くの人々がシェルターや地下鉄等で毎日眠れない夜を過ごしています。また、圧倒的な軍事力を持つロシア軍に必死に抵抗を続けている、ウクライナ軍や多く市民の方々もおられます。
 亡くなられた方々には哀悼の意を表しますとともに、負傷された方々には一刻も早いご回復と、この状況が早急に解消され、ウクライナの皆さんが一日でも早く日常生活に戻ることができるよう願って止みません。

 このウクライナ侵攻は世界に大きな衝撃を与えました。ロシアのプーチン大統領は、かつてのロシア帝国やソビエト連邦のような大国としての威厳を取り戻したいとのナショナリズム・覇権主義からくる欲望を軍事行動という方法を選択し、満たそうとしたからです。

 人類史上、古くから覇権争いはありましたし、現在でもあります。ロシア対NATOやアメリカ対中国といった核兵器保持を含む軍事対立やサイバー戦、経済的覇権を目的にした対立といったものです。しかし、世界経済がグローバル化するとともに、文化的にもグローバル化する中で、グローバル化とナショナリズムの調整は必要とするものの、前世紀までに行われた第二次世界大戦の直接のきっかけとなった、ナチスドイツのポーランド侵攻のような行為が公然と21世紀に行われると誰も信じていませんでした。

 現役時代、 EUとロシアのパイプ役を務めたドイツのメルケル前首相がウクライナ侵攻を止まるよう説得しましたが、メルケル前首相は「プーチン大統領はまったく人が変わってしまった。」と発言しました。現在プーチン大統領はウクライナとの協議において、直接にはウクライナ、間接的にはNATOに対し核兵器使用をちらつかせています。

 今現在、プーチン大統領にとって、ウクライナ侵攻の遅れ、プーチン大統領の体調や個人の海外資産の凍結、強力なロシアへの経済封鎖、ロシア国内での反対運動等により前にも後ろにも動けない状況となっています。そのような状況の中で核兵器のボタンを握っているプーチン大統領の精神時様態を考えてみると、背筋が冷たくなりますし、冷戦時代に全世界の人達が深層的に思っていた第3次世界大戦の予感が蘇ってきます。

 19世紀末ドイツが統一され、ドイツが軍事的に力を持ってくるとヨーロッパの主要国が対抗するように軍備拡張を始めました。こうして、「パワーオブバランス」の考えが形成されていきます。これは、対抗する国どうしが同程度の軍事力を持てば互いに牽制し合い平和が保たれる。という考えです。しかし、どうなったでしょうか、第一次世界大戦です。1914年6月セルビアの青年がオーストリアの皇太子を暗殺するという事件が起こりました。これに対しオーストリアはセルビアに宣戦布告しました。その後、セルビアの友好国であるロシアがオーストリアに宣戦し、続いてオーストリアの同盟国ドイツがロシアに宣戦し、ロシアの同盟国フランスがドイツとオーストリアに宣戦、最終的にはイギリス・イタリア・アメリカ・バルカン諸国・トルコ・日本等が戦争に引き込まれていきました。このことから分かるように、セルビアの青年の一発の発砲で「パワーオブバランス」の理論はあっという間に崩壊したのです。そして、戦死者だけでも900万人、負傷者2,000万人超という悲惨な結果となりました。

 この「パワーオブバランス」理論は第二次世界大戦後の東西冷戦にもおいても用いられました。東西冷戦においては通常兵器だけではなく核兵器も導入されました。やがて、ソビエト連邦が崩壊し東西冷戦はなくなりましたが、現在でも、「パワーオブバランス」理論は生きています。

 ウクライナ侵攻に関わる、政治・軍事問題もそうですし、極東にある日本周辺の政治・軍事情勢であるアメリカと中国との対立関係、北朝鮮や台湾問題というものもそうです。特に極東地域は世界の中でも最も危険な地域の一つと言われています。
先日、国会で岸田総理は日本に核兵器の持ち込みは認めないとの発言がありました。唯一の被爆国である日本としては当然なことです。

 いつ崩壊するか分からない「パワーオブバランス」理論は全世界から排除しなければなりません。特に今回のウクライナ侵攻におけるプーチン大統領の核兵器使用をちらつかせた交渉は絶対に許されないし、今後、このようなことのないように全世界から核兵器を全面撤廃しなければなりません。

 唯一の戦争被爆国、憲法9条を持つ国の国民として、身近にいる人と今できることは何かを話し、いっしょに「どんなことがあっても戦争はだめ」の声をあげ、その声を広げるために平和を求める日本の、世界の人々とつながり、行動していきます。

 

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