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連合はこのほど、一般成人を対象に行った消防職員の団結権に関するアンケートの結果を発表した。「消防職員に労働組合を結成する権利を認めるべき」との回答は52%に上り、「認めるべきでない」の5・8%を大きく上回った。地震や水害など自然災害が多発する中、復旧作業を担う消防職員の権利が制約されている問題に目を向けてもらうために行った。4月14日には都内で、この問題についてのシンポジウムを開く予定だ。
アンケートで消防職員の組合結成の権利を「認めるべき」とする意見はほぼ全ての世代で5割前後に上った。「認めるべきでない」はわずかで、残りは「どちらともいえない」。組合加入経験の有無でみると、認めるべきとした人では、加入経験「有り」が64%、「なし」が48%と違いが見られた。
認める理由を複数選択してもらったところ、最も多いのが「働きやすい職場環境の構築」で8割近い。以下、「消防サービスの質向上」の6割弱、「倫理観・責任感・意欲の向上」の4割強と続く。
特徴的なのが、その次に続く「日本国憲法で保障された権利」だからという理由を選んだ人が年代により大きな差が見られたこと。30代が2割弱と最も少なく、60代が5割強と全体平均より2割近く多いなど、捉え方の違いが顕著に表れている。
アンケートは2月上旬、調査会社を通じ、公務員を除く成人男女を対象にインターネットを通じて行い、1000の有効回答を得ている。
●日本の立ち遅れ顕著
日本では、憲法で団結権が保障されているが、消防職員には団結権が認められていない。欧米諸国では団結権だけでなく協約締結権付与も少なくなく、争議権を与えている国さえもある(表)。ILO(国際労働機関)はこの問題で日本政府に再三勧告しているが、政府はILO87号条約(団結権)の例外とされる「警察」に含まれるなどとして、後ろ向きの姿勢を取り続けている。
民主党政権時、消防職員に団結権と協約締結権を付与する法案が国会に提出されたが審議未了で廃案に。消防職場にはいじめやパワハラなどの深刻な問題も多く、労使が対等に交渉するための組合の必要性が叫ばれる。国際水準に沿った改善が急務である。(連合通信 2017)