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国公労連が発表した「公務員酷書」には、各省庁別労組によるレポートが掲載されている。なかでも深刻なのは、非常勤職員比率が51%と過半数になっている厚生労働省。ブラック企業を取り締まり、非正規の正規化を促進すべき行政のはずだが、 「酷書」は同省が足元の非常勤職員を使い捨てにしている実態を告発している。
●公募は人権侵害
ハローワークで就職支援ナビゲーターとして働いている男性職員は、同じ部署の非常勤職員が「公募」を契機に退職せざるを得なかったことを報告している。
「2人の方が公募対象となりました。選考の結果、多数の一般求職者が不採用となり、この2人は採用されたものの、1人はメンタル不全となり退職されてしまいました。もう1人は、自分が紹介した一般求職者が不採用になったこと、今回は採用されたけど3年後にまた同じ思いをするのは耐えられないとの思いから退職してしまいました。優秀な能力を持った方に公募のストレスによる精神疾患を患わせ、社会に放り出している現状を厚労省はどう考えているのでしょうか」
非常勤職員は、2回の契約更新で3年間は働くことが保障されているが、3回目の更新は「公募」を経ることになっている。一般の求職者と一緒に、今自分が働いている職に「応募」する形だ。そのストレスと雇用不安は半端ではない。
労働組合の全労働はレポートの中でこう指摘している。
「ハローワークのカウンターの向こう側で求職者の相談に乗っていた非正規相談員が、翌日、カウンターのこちら側で失業者となって、向こう側の非正規相談員に求職相談をするというブラックジョークのようなことが本当に起こっている。公募は人権侵害でありパワハラと言わざるを得ない」
●監督官もつらい
正規職員も定員削減の影響をもろに受けている。
労働基準法違反を取り締まる労働基準監督官。近年は採用が増えつつあるが、それでも管理職を含めて全国で3千人強でしかない。監督官1人が担当する労働者数はドイツの3倍にもなるという。
一年間で監督できる事業場は全体の4%。全事業場を監督するには25年かかるといわれるゆえんだ。
労基法違反率は65%程度で高止まりしている。長時間労働や過労死、ブラック企業への対策などが求められているなか、「労働者の味方」としての役割を発揮しきれないもどかしさが職場に広がりつつある。(連合通信 2017)